Vol.2
NIKE SPORTSWEARのAIR FORCE 1
スニーカーは、白であるべき。
綺麗であればあるほどステータス。そう教わったのがエア フォース1でした。
最初に欲しいと強く思ったのは、90年代後半のこと。自分の中でヴィンテージ熱が一旦落ち着き、紆余曲折を経てヒップホップカルチャーに興味を持った頃。
すでにおしゃれな人たちの間でエア フォース1の白×白は、ティンバーランドと同じくらいアイコン化していました。
しかし当時はまだ日本で正規発売されていなく、並行輸入ショップで¥15,000以上は最低でも出さないと買えません。
ユニフォーム的なベーシック、でも履く人を選ぶ。そんなイメージでした。
気軽に買えるようになったのは、アメリカに留学していた時でした。
フットロッカーの定価が70ドル。当時の『Boon』のスニーカー特集や広告ページを見ると1万5800円とか。
日本の半額で、しかもどこでも買える。そんな嬉しい悲鳴を日本の友達に届けたくて、まとめ買いしては地元の友達に送っていました。
UPSで送料が約20ドルだったので、約9000円。革の関税がかからないように品名を「Athletic Shoes」とラベルに書いていました。
もし70ドルのスニーカーで引っかかったら、さらに上代の30%の2100円が追加されます。革靴じゃないのだから関税なんてありえない、と思っていたし、そうなると旨味はさしてありませんよね。
しかし1982年の誕生時、バスケットシューズ市場が軽くて安いクラリーノ(人工皮革)全盛だったのに対し、エア フォース1は強気の本革で、定価がなんと2万5000円。
1ドルが230円の頃ですので、おそらく海外でも100ドル強はしていたのではと推測できます。
とにかく別格的な扱いだったそう。学生で手にしていた人など、ほとんどいなかったようです。
もし僕が品名表記を工夫しなかったら、このスニーカーは間違いなく課税の対象となっていました。
ストリートで愛される所以は、色々とあると思いますが、僕にとってこのモデルのステータスが高い理由は、革靴であり、スニーカーであることです。
たとえフレッシュな”White on White(白×白)”であっても、スラックスや上品なパンツに合わせても似合う魅力が、思い出補正とともに備わりました。
大人になってから改めて接して見ると、意外な発見がありますね。一方で最近の若い人の足元を観察していると、エア フォース1は”Black on Black(黒×黒)”の人気が高いように思われます。
ヒップホップカルチャーやストリート育ちの世代からみると実に意外なトレンドですが、このスニーカーが革靴的な魅力を持っていることを知れば、至極当然なチョイスかもしれません。
しかもそれがいまでは国内定価で1万円。ファッションも随分と気軽に楽しめる時代になったなぁ、と思います。
小澤匡行
MASAYUKI OZAWA
1978年生まれ、千葉県出身。雑誌『Boon』でライター業をスタート。現在は編集・ライターとして『MEN’S NON-NO』、『UOMO』(集英社)等のファッション誌やカタログ、広告などで活動。2016年に『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓、近著に『SNEAKERS』(スペースシャワーネットワーク)の日本語監修など。
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